
乳腺外科
乳腺外科
乳房に関するさまざまな症状(しこり、痛み、分泌物など)に対して診察を行っています。
こんな症状ありませんか?
このような症状が当てはまるからといって、必ずしも悪いものというわけではありません。乳腺疾患は良性が多いのですが、自分で触っただけでは良性か悪性かがわからないことがほとんどです。今までなかった乳房の症状が出てきたら「これって乳がん!?」と1人で悩まずクリニックに相談にいらしてください。
医師が目で視て乳房にくぼみがないか、手でふれてしこりがないかなど観察します。触診では、“しこり”の有無をチェックします。しこりが認められた場合、すべて乳がんというわけではありませんが、必要があれば精密検査を行います。人間の感覚ではしこりが1cm以上でないと認識できないとも言われています。1cm以下の小さい病変や、1cm以上であっても深いところにある“しこり”は、触診だけでは確認できないことが多いです。そのため、“しこり”を触れる人も、触れない人も、画像検査をお勧めします。画像検査にはマンモグラフィや乳腺超音波検査(エコー検査)があります。
乳房を圧迫して撮影するX線装置です。痛みを感じられる方もおられますが、女性放射線技師・女性医師が優しくお声がけをしながら撮影いたしますので、安心して受けてください。
しこりを作らない早期乳がんに伴う石灰化病変や、脂肪の多い乳房のしこりの発見に役立ちます。放射線量はごく微量であり人体への被ばくの影響はほとんど心配ありませんが、妊娠中の方は被ばくのない超音波検査を行います。
※豊胸手術後、ペースメーカー・ポート・埋め込み型心電計・V-Pシャント術後など、胸に留置物がある方は撮影できない場合がありますので、必ず医師に相談してください。
※制汗剤のご使用は検査に影響を及ぼすことがありますので、お控えください。
超音波診断装置を用いてゼリーを乳房に塗り、その上から乳腺専用のプローブを軽く押さえ滑らせながら、医師の触診や自己触診では発見できないしこり(腫瘤)などの異常がないかを探します。妊婦さんがお腹の赤ちゃんをみるときに使う検査と同じで、被爆もなく、痛みも伴いません。病変が見つかった場合は、その病変が何なのか(悪性なのか良性なのか、など)、画像上の影や形からある程度の予測ができます。
良性や悪性が判断できないもの、少しでも悪性を疑うものに関しては、精密検査が必要となります。その場合は、“穿刺吸引細胞診”もしくは“細胞診・針生検”を引き続き行います。
超音波でしこり(腫瘤)を描出し、細い注射針(採血で使う針と同じ太さ)を刺して細胞を吸引して調べます。また、乳頭分泌がある場合、分泌物を採取して調べる方法もあります。
細胞診は、良いものか(良性)、悪いものか(悪性)を判定するための検査です。検査時間は5~10分程度です。検査結果がわかるまでに約1週間かかります。
超音波で病変を描出し、周囲に痛み止めの局所麻酔を行います。専用の針を使用して病変の一部を切り取ります。細胞診と比べ採取する量が多く、組織型を調べるためより確実な診断を行うことができます。検査時間は20~30分程度です。検査結果がわかるまでに約1~2週間かかります。
乳がんは、乳房のなかの母乳をつくる小葉細胞や母乳を乳首まで運ぶ乳管細胞から発生する悪性腫瘍です。
乳がんにかかる方は年々増えつづけ、現在は日本人女性の9人に1人が乳がんになるといわれています。40~60歳代で発症のピークがあるのが特徴であり、働く世代・子育て世代に多く患者様がみられます。
早期発見・早期に適切な治療を受けることができれば予後は良く、早期のステージIやIIの10年相対生存率は90%を超えます。
乳がんは症状を伴うことは少なく、発見が遅れることがあります。早期発見を目指し、症状がなくても定期的に検査を受けることが重要です。乳房の痛みは生理的なもので心配いらないものが多いですが、乳房に不安のある方はお気軽にご相談ください。
乳がんの代表的な症状は以下のとおりです。
腫瘍が大きくなってくると、しこりを触れるようになります。自覚できるしこりの大きさは1cm以上(多くの人が気が付く大きさは2㎝以上)です。超音波検査ではより小さなしこりを発見できます。
しこりのほとんどは良性ですが、一部に乳がんがあります。硬いもの・大きくなってくるものは注意が必要です。
乳腺症、線維腺腫、葉状腫瘍なども、しこりとして触れます。しこりに気が付いたら早めの受診をお勧めします。
乳がんが乳房の近くにあると、乳がんが増大するにつれ、乳房の表面に凹み(へこみ)やひきつれ(引っ張られている状態)、出血を伴う潰瘍ができたり、オレンジの皮のように赤みを帯び、毛穴が目立つようになってきたりすることがあります。
また、乳頭や乳輪部分の痒み(かゆみ)や、乳頭の先から血が混じさった分泌液がでることもあります。なかなか治らない乳頭のただれや湿疹などの症状がある場合、「乳房パジェット病」という特殊な乳がんの可能性があるため、早めの受診をお勧めします。
乳がんは、脇の下や胸骨・鎖骨のリンパ節に転移しやすくなります。それが大きくなると脇の下にしこりを触れたり、リンパ液の流れが悪くなって腕のむくみやしびれなどの症状がでることがあります。
ちくちくとした痛みが一部分にだけ生じるというのが特徴で、乳房内のしこりによるものです。乳腺全体に痛みが生じる場合、乳腺炎の可能性があります。
乳房の良性病変の中では最も頻度が高いものです。
通常は2〜3㎝くらいの大きさのものが多いですが、思春期頃に生じるものでは巨大な腫瘤となることもあります。これ自体ががん化することはありませんが、がんと見分けがつかないものもあり、精密検査が必要となる場合があります。
乳房良性腫瘤の中で最も発育速度が速いという特徴があります。広い年齢層に見られますが、特に40歳代後半に多い傾向があります。ほとんどの場合、良性の経過をたどりますが、稀に悪性化することがあるので注意深い経過観察が必要となることもあります
乳腺症は、乳房のしこりや痛み、乳頭からの分泌物など色々な症状を呈する、悪性ではない(がんではない)と判断される良性の疾患群の総称です。乳腺症のほとんどが乳がんとは無関係で、乳腺症は病気ではないとすることが一般的です。
乳腺症の原因は、女性ホルモンのバランスがくずれて、一部の女性ホルモンが相対的に多くなっていることだと言われています。特に乳がんとの鑑別が必要となることがあります。
分泌物などが乳管に袋状に貯留し拡張したものです。嚢胞の大きさは様々で、多発することが多くあります。大きさが一定の場合は特に治療は必要ありませんが、嚢胞が大きくなった場合や乳がんとの鑑別が必要となった場合、嚢胞内の水分を抜くこともあります。
乳管内乳頭腫は30代後半から50代に多く見られる良性腫瘍です。自覚症状としては主に乳頭からの分泌があり、その分泌液は薄い黄色や無色透明、または血液が混じった赤や褐色です。超音波検査では境界が明確な充実性腫瘤や充実成分のある嚢胞性病変として、マンモグラフィの場合は境界が微小石灰化や明瞭な腫瘤として、描出されます。
乳腺炎には、「急性」と「慢性」の2種類あります。
まず「急性」の乳腺炎は、主に産後に起こる症状で母乳が乳腺内に溜まってしまうことで起こる「うっ滞性乳腺炎」と乳管から細菌に感染してしまい、乳房の腫れや痛み・発熱を起こす「急性化膿性乳腺炎」が考えられます。
実際の症状としては、「乳房が張って痛い」「乳房が熱を持っている」「身体がだるい」「微熱がある」などがあげられます。実際にこの症状を感じた方はすぐに乳腺外科を受診してください。
慢性の乳腺炎の場合は、授乳経験が無い方でも起こる病気で、「乳輪下膿瘍」や「肉芽腫性乳腺炎」などが挙げられます。治療が難しい場合が多く、実際に乳がんとの判別が難しいことがあるのですこしでも気になる方は早めにご相談ください。
身体所見、現病歴・既往歴・内服薬の聴取により女性化乳房症の診断をします。
画像診断としては乳腺超音波、マンモグラフィ検査が乳がんとの鑑別に有用です。一般に思春期、青年期の女性化乳房症は生理的・特発性が大部分を占めており、自然消退が多く積極的治療を要しないことがほとんどです。中高年以降は薬剤性や肝臓疾患に随伴するものの割合が多く、また乳がんとの鑑別を念頭に置く必要があります。原因の薬剤が原疾患の治療に不可欠で中止困難であった場合、副作用としての乳腺肥大は許容して経過観察することもあります。特に高齢者は多剤を内服している場合が多く、原因薬剤の診断、またこれら薬剤の中止、変更の実施が困難な場合も少なくありません。
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